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キャンプや登山の道具が家にあると、防災にも使えそうに見えます。実際に、登山リュックや雨具のように、そのまま使える物もあります。ただ、何でもリュックに入れると、背負って逃げられない重さになります。
わが家では、容量30Lの登山リュックに、水・食べ物・携帯トイレなどの防災用品を詰めて、体重計に載せてみました。約13kgありました。水が1日分(3リットル・約3kg)でも、この重さになります。ここにテントやコンロのような大きい道具まで足すと、さらに重くなります。
水・食べ物・トイレを入れたうえで、アウトドア用品を持ち出すかは、「避難所で使うか」と「背負える重さと大きさに収まるか」の2つで決めます。2つとも「はい」の物だけを持ち出します。 こうして分けると、買い足す物を絞れて、使わない道具に場所を取られずに済みます。
結論:水・食べ物・トイレを入れたうえで、避難所で使うか、背負えるかで分ける
まず、水・食べ物・トイレを入れます。これまでの大きな地震でも、発災直後の避難所では、食べ物や水が足りなかったり、届くのが遅れたりしました。国が送る物資が届くまでの発災から3日間は、家庭や自治体の備蓄で対応する想定です。トイレも、仮設トイレがすぐに届くとは限らず、数が不足することがあります(いずれも内閣府)。そのため、この3つは自分で持っていきます。
そのうえで、アウトドア用品を持ち出しに入れるかは、次の2つを順に考えて決めます。
- 避難所(屋内。停電していることもある)で使うか
- 背負える重さと大きさに収まるか
2つとも「はい」なら持ち出す。どちらかが「いいえ」なら、在宅避難のときに家で使う物か、持ち出し用には買わなくていい物です。
マットとシュラフは、2つ目の問いの答えが家ごとに違います。詰めて背負ってみて、重さに余裕があれば、マット、シュラフの順に足します。
| 道具 | 分け方 |
|---|---|
| 登山リュック(容量30L前後・腰ベルト付き) | 持ち出す(入れ物になる) |
| ヘッドライト | 持ち出す(足す物ではなく、初めから入れておく) |
| マット(エアマットなど) | 余裕があれば足す(1番目) |
| シュラフ(寝袋。畳んで小さくなる物) | 余裕があれば足す(2番目。リュックの外に付ける) |
| テント・大型の寝袋(畳んでも背負えない大きさの物) | 持ち出さず、在宅避難や車で避難するときに使う |
| ポータブル電源・発電機・ソーラーパネル・大型クーラーボックス・カセットコンロ | 持ち出さず、在宅避難のときに家で使う |
| 登山用の小さいガスバーナー | 持ち出さず、在宅避難のときに家で使う(避難所の中では、火を使えないことがある) |
| ナイフ・冬山用(雪山向け)のシュラフ | 持ち出し用には、新しく買わなくていい |
わが家の登山リュック:防災に要る物だけで13kgになった
わが家では、玄関の市販のセットのほかに、もう1か所に30Lの登山リュックを置いています。夜中に大きく揺れて、家具が倒れて廊下がふさがると、玄関のセットに手が届かないかもしれないためです。玄関から逃げられるときは玄関のセットを、玄関に行けないときは登山リュックを持ち出します。2つ目は、市販のセットをもう1つ置いても構いません。わが家は、もともと登山リュックがあったので、それに防災用品を詰めています。置き場所の考え方は、【年齢別】子連れ防災リュックの中身にまとめました。
\ わが家で購入した大人用。2人分の中身で約8.5kg /
わが家の登山リュックの中身

この状態で約13kg
- 先に入れる物(水・食べ物・トイレ):水(500ml×6本)/備蓄の食料/携帯トイレ(便器にかぶせて、袋の中で固める型)15回分
- 明かり・情報:ヘッドライトと乾電池/ラジオ
- 衛生品:トイレットペーパー/おしりふき/ウェットタオル/タオル/バンダナ
- 雨・寒さ:登山用のレインウェア/アルミシート(レスキューシート)/手袋
- 助けを呼ぶ:笛/鏡(光を反射させて合図する)
- そのほか:小銭(買い物用・公衆電話用)/ラップ/ジップロック/十徳ナイフ(はさみや缶切りなどの道具が付いた物)/登山用の救急セット/コンパス(登山用の非常セットに入っていたまま)
登山リュックのほか、レインウェアと救急セットは、登山用をそのまま入れています。軽くて小さい登山の道具は、防災にもそのまま使えます。
モバイルバッテリーは、いつも持ち歩くかばんに入れていて、持ち出すときはそれを持って出ます。
この中身を詰めて、体重計に載せました。

約13kg。米5kg袋の約2.6倍です。 水は1人1日3リットルが目安で(首相官邸)、入れたのはその1日分です。2日分、3日分と増やせば、1日ごとに約3kgずつ重くなります。
防災に要る物だけでも、これだけの重さになります。ここにテントやコンロのような、重くて大きい道具まで足すと、さらに重くなります。
背負ってみると、「めちゃくちゃ重いけど、無理ではない」くらいでした。ただ、避難では、子どもを抱えたり、夜に足元の見えない道を歩いたり、階段を下りたりします。家の中で背負うより、負担は大きくなります。
重さの目安は、体重の10〜15%までです(京都光華大学)。体重50kgなら5〜7.5kgで、13kgは、その目安を大きく超えます。目安に収まらないときは、リュックを分けるか、持ち出す日数を減らします。分け方と、持ち出す日数(1〜3日分)は、子連れ防災リュックの記事で書いています。
登山リュックがないなら:選ぶときの基準
これから登山もするなら、2つ目を登山リュックにすると、登山にも使えます。選ぶときの基準は、2つです。
- 容量30L前後
- 腰ベルト付き
腰ベルトがあると、重さを肩だけでなく腰でも受けられます。 登山用品のメーカーは、「腰と肩で荷重を分散して担ぐことで疲労を軽減できます。」と説明しています(モンベル)。ただ、腰ベルトがあっても、重さの目安は体重の10〜15%までです。
わが家の登山リュックは30Lで、腰ベルトを取り外せない作りです。たまに登山に行くときも、このリュックを使います。そのときは中身を出すので、年2回の点検日のほかにも、期限の切れた物や電池を見直せます。
\ わが家と同じリッジ30の今の型。サイズはS・M・Lから選べます /
\ 30L・レインカバー付き。腰ベルトを外せば、街でも使えます /
持ち出す物:ヘッドライトは初めから入れておき、足すならマット、シュラフの順
リュックの中は、防災に要る物でいっぱいになります。腰ベルトのある登山リュックなら、重い物も背負いやすくなります。アウトドア用品のうち、ヘッドライトは、足す物ではなく、初めから中身に入れておく物です。
背負う重さに余裕があれば、足すのは、避難所で代わりが手に入りにくい物からです。わが家では、マット、シュラフの順で考えています。マットは手が空いていれば持ち、シュラフは、リュックの外に付けて持つ形になります。
ヘッドライト
両手が空くので、子どもを抱いたまま足元を照らせます。選び方(乾電池式・光の向きを変えられる物)は、子連れ防災リュックの記事にまとめました。ランタンは、避難所に着いてから置いて使う明かりです。明かりの使い分けは、防災の明かりの選び方で書いています。
\ 両手が空くので、子どもを抱けます /
マット
避難所の床は硬く、冷えます。避難所の簡易ベッドは、すぐに届くとは限りません。わが家では、リュックの次に手が空いていれば、マットを持つと考えています。停電すると、電動ポンプで膨らませるエアマットは使えません。足で踏んで膨らませる型なら、停電していても使えます。簡易ベッドが届くまでの床のことと、膨らませ方や、底つき(体の重みでマットがつぶれ、床の硬さが伝わること)しない厚みの選び方は、避難所の硬い床で眠るためににまとめました。
\ 畳めば24×11cm。足で踏んで膨らませます /
シュラフ(寝袋)
地震は季節を選ばないため、選ぶなら冬の避難所でも使える物(オールシーズン用)です。温度の表示がいくつかあるときは、快適温度(寒さを感じずに眠れる温度の目安)を見ます。いちばん低い温度の表示(極限温度と書かれることもあります)は、丸くなって6時間ほど耐えられる温度で、低体温症になる恐れがあるとされています(ナンガ)。雪山で寝るための冬山用までは要りません。冬にも使える物はかさばるので、リュックの中ではなく外に付けて持ちます。下のボタンのシュラフは、約-3℃まで寒さを感じずに眠れる目安(快適温度)で、重さは約1.8kg、畳むと直径約27cm・高さ約39cmです(メーカーのページ)。
\ 快適温度は約-3℃。畳むと直径約27cm /
そのほか
- レスキューシート(アルミの薄いシート):薄くて軽く、リュックの中で場所を取りません。体をくるんだり、上から掛けたりして使います。使い方は、マットの記事にまとめました
持ち出しに入れない物
避難所で場所を取る物:テント・大型の寝袋。 避難所は屋内で、テントも大型の寝袋も場所を取ります。車で避難するときや、在宅避難のときに使う物です。
重くて大きく、背負って運べない物:ポータブル電源・発電機・ソーラーパネル・大型クーラーボックス・カセットコンロ。 どれも、持ち出さずに、在宅避難のときに家で使う物です。家で過ごすために買うかどうかと使い方は、在宅避難の記事でまとめる予定です。
避難所の中では使えないことがある物:登山用の小さいガスバーナー。 避難所の中で火を使うことを、禁止している自治体もあります(摂津市)。軽くて小さくても、在宅避難のときに家で使う物です。
持ち出し用には、新しく買わなくていい物:ナイフ・冬山用のシュラフ。 冬山用のシュラフは、雪山で寝るための物です。屋内の避難所には、そこまでの性能は要りません。
まとめ:詰めて量り、背負えない物は家で使う
- 水・食べ物・トイレを入れたうえで、アウトドア用品は「避難所で使うか」と「背負えるか」の2つで分ける
- 登山リュックや雨具のように、軽くて小さい登山の道具は、そのまま使える
- 防災に要る物だけで、わが家は約13kg。重さの目安は体重の10〜15%まで
- 登山リュックは、容量30L前後・腰ベルト付き
- 足すなら、避難所で代わりが手に入りにくい物から。わが家ではマット、シュラフの順
- テント・電源・カセットコンロ・ガスバーナーなどは、在宅避難のときに家で使う
中身は、年に2回の点検日に見直すと忘れません。登山などで中身を出し入れするときにも、見直せます。点検日の回し方は、防災の日にやる、わが家の点検リスト-9月1日に見直す5項目にまとめました。
次の週末に、詰めて体重計に載せてみる
手持ちのアウトドア用品と防災用品を登山リュックに詰めて、次の3つを確かめます。
- 体重計に載せて、重さを量る
- 背負って家の中を少し歩き、持って逃げられる重さかを見る
- 抱っこひもを使う家は、付けたまま背負って、抱っこひもとリュックの腰ベルトが重ならないかを見る
登山リュックを持っているなら、詰めて量り、背負えない物を家に置く。持っていないなら、腰ベルト付きのリュック1つから始めると、ほかの道具を足すときの入れ物になります。
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この記事を書いた人
病院を裏方から支えて10年以上。被災地で見たことから、家で防げるけがを減らしたくて書いています。→ 運営者について
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- 【年齢別】子連れ防災リュックの中身-0歳から小学生まで、”足す物”と”いらない物”……玄関ともう1か所の置き場所と、背負える重さの目安
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- 防災の明かりの選び方-ランタン・ヘッドライト・懐中電灯の使い分け……停電の夜の明かりの使い分け
- 防災の日にやる、わが家の点検リスト-9月1日に見直す5項目……リュックの中身を見直す点検日
- (予定)在宅避難のそなえ……家で過ごすときの電源・調理・備蓄
参考文献
国・自治体
- 首相官邸「災害が起きる前にできること」… https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/sonae.html
- 内閣府(防災担当)「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(平成28年4月・令和6年12月改定)… https://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/2412hinanjo_toilet_guideline.pdf
- 内閣府(防災担当)「阪神・淡路大震災教訓情報資料集【04】避難所の物資調達と配給」… https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kyokun/hanshin_awaji/data/detail/1-7-4.html
- 内閣府(防災担当)『平成24年版 防災白書』「(3)被災者支援等に関する教訓」… https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/h24/bousai2012/html/honbun/1b_2h_1s_00_03.htm
- 内閣府 検証チーム『令和6年能登半島地震に係る災害応急対応の自主点検レポート』(令和6年6月)… https://www.bousai.go.jp/updates/r60101notojishin/pdf/kensho_team_report.pdf
- 摂津市「避難所のルール」〈やさしい日本語版〉… https://www.city.settsu.osaka.jp/material/files/group/61/hinansho_rule_yasashii.pdf
大学
- 京都光華大学 社会学部 社会共創学科「防災リュックの重さの目安を研究論文から考える:見えてきた『体重の10〜15%』という視点」(2026年3月3日)… https://www.koka.ac.jp/sociology/news/bousailab/emergency-bag-weight
メーカー・店
- モンベル「登山スタイルに合わせて最適なパックを―バックパックの選び方―」… https://www.montbell.jp/generalpage/disp.php?id=829
- ナンガ「使用温度表示について」… https://nanga.jp/knowledge/european-norm/
- キャプテンスタッグ「フォルス スリーピングバッグ 3」(UB-36)… https://www.captainstag.net/products/UB-36.html
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