下校中にゲリラ豪雨、どこで待つか子どもと話しましたか

雨粒のついた透明な傘と、くもり空 子どもと備える

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もし仕事中や移動中に、ゲリラ豪雨で空が急に暗くなり、雷が鳴りはじめたら。ちょうど子どもの下校の時間だったら。「迎えに行ったほうがいいのか」「子どもは今、雨の中を歩いているのか」と、落ち着かなくなりませんか。

わが家にも、こんな日がありました。学校の連絡アプリに、子どもが学童を出たという通知が届いて、まもなく急な雷雨になりました。運悪く電車も止まり、親は身動きできません。子どもはそのまま帰ってきて、鍵がなく、家の前で待っていました。この日のあと、子どもと「無理して帰らない」と決めました。

親子で決めておくことは2つです。子どもは、無理して帰らず、近くの建物で待つ。親は、待つ建物を子どもと話し合って決め、行く先(学校・学童・習い事)の決まりを確かめておく。

子どもがどう動けばいいかは、気象庁の小学生向けワークシート「急な大雨・雷・竜巻から身を守ろう!」に答えがあります。場面ごとに、とる行動が○か×かを考えるプリントです。

子どもだけで学校や学童から帰りはじめた家庭なら、一度話しておくだけで、雨の日に親も子も迷う時間が短くなります。


結論:子どもは帰らず、建物の中で待つ。親は待つ建物と、行く先の決まりを確かめておく

急な大雨(ゲリラ豪雨)や雷のとき、子どもがとる行動は1つです。無理せず、近くの建物の中に入って、雨と雷が収まるのを待つ。 家まで走って帰ることではありません。

ワークシートの場面は「友だちと塾へ行く途中で、急に大雨」ですが、学校や習い事の帰り道でも同じです。ワークシートの答えを、要点にまとめると次のとおりです(気象庁)。

行動答え理由(要点)
大雨の中を走って帰る×走っている車にぶつかる。道路が水に漬かり、側溝に落ちる
近くの建物の、地下ではない階で雨宿りする○雨や雷をさけて、安全に過ごせる
建物や駐車場の地下に入る×水が流れこむと、逃げ出せない
雨がやむまで橋の下で待つ×上流の大雨で、急に川の水が増える

ワークシートが答えているのは、子どもが外にいるときです。学校や学童、習い事にいる間は、その場所の決まりで動きます。子どもを帰すのか、待たせるのか、保護者に迎えを頼むのかは、場所によって違います。親は、その決まりを先に確かめておきます。

確かめた決まりは、子どもと話し合っておきます。ワークシートも最後に、学校や習い事の行き帰りにどうするか「家族とも話し合ってみましょう」と呼びかけています。


1. 子どもに伝えること:近くの建物の中で待つ

学校にいても、帰り道の途中でも、習い事や友だちの家の行き帰りでも、伝えることは同じです。無理せず、近くの建物の中で待つ。

学校や学童にいたら、先生がいいと言うまで出ない

学校や学童は、すでに「しっかりした建物」の中です。気象庁が学校向けに作った手引きは、安全な場所にいるときの行動をこう書いています。

危険が過ぎるまでその場にとどまり、外の様子を見に行くなど、むやみに外に出ない。(気象庁)

わが家としては、学校や学童のように、大人が見てくれている場所で待っていてくれるのが、一番安心です。

学校が「待つ」と決めたら、それに従えば十分です。子どもには「いつもと違う、分からない、と思ったら、先生に聞いてね」と伝えておきます。習い事や友だちの家にいるときも、着いた先が建物なら、そこで待ちます。

黒い雲・雷の音・冷たい風に気づいたら、建物に入る

帰り道で急な大雨や雷にあったときも、答えは同じです。同じ気象庁の手引きは、路上を、道路の冠水・落雷・突風が危ない場所としています。路面や側溝の様子に気をつけながら、近くの建物の中へ移ります。

建物に入る合図は、空の様子です。気象庁は、積乱雲が近づくサインとして3つを挙げています。

  • 真っ黒い雲が近づいてきた
  • 雷の音が聞こえてきた
  • 急に冷たい風が吹いてきた

このサインのどれかに気づいたら、まもなく激しい雨と雷がやってきます(気象庁)。様子を見ずに、その時点で建物に入ります。

雷の音は、遠くで聞こえても、建物に入る合図です。

遠くで雷の音がしたら、すでに危険な状況です。(気象庁)

ワークシートも、光ってから音まで10秒以上あれば大丈夫、という考えに×をつけています。答えは「秒数にかかわらず、音が聞こえたらすでに安全ではない」です。

傘については、日本大気電気学会が「雷雨中に傘を差す事は絶対に避ける」と書いています。自転車については、兵庫県と群馬県の教育委員会が、乗っている場合はすぐに降りて、安全な場所に避難するよう書いています。

雨も、強くなってから動くと間に合わないことがあります。今、何ミリの雨が降っているかを、その場で分かる大人は少ないと思います。子どもには、もっと分かりにくいはずです。目で分かる目安を1つ持っておきます。気象庁は「どしゃ降り」の雨を、「傘をさしていてもぬれる」くらいと表しています。雷が鳴る前でも、傘を差していてもぬれるほど降ってきたら、近くの建物に入ります。

入るのは、親子で決めておいた建物

気象庁のワークシートは、入る建物を「しっかりした建物」「じょうぶな建物」と書いています。お店などの、建物の種類までは書いていません。

ただ、親としては、よく知らない建物に子どもだけで入るのは心配です。だから、入る先は前もって親子で決めておきます。文部科学省も、登下校のときに子どもが自分で身を守れるよう、安全な避難場所を普段から教えておくよう学校に求めています。

一度、通学路や習い事への道を親子で歩いて、入れる建物を1つ決めます。店員のいるお店や、公共の建物です。決めたら、一度一緒に中に入ってみます。警視庁も防犯のために、駆け込める場所を親子で歩いて確かめ、コンビニなどには実際に入ってみるよう勧めています。雨の日にも、そのまま使える下見です。

通学路には、「子ども110番の家」の目印を出しているお店や家もあります。もともとは防犯のための目印です。岡山県は、協力する家に向けたマニュアルで、思いやりをもって接してほしい場面の例を挙げています。その1つが、子どもが「雨が降り出してやむまで待たせて、雷が怖い」と言ってきたときです。どこにあるかは、親も一緒に歩いてみないと分かりません。

軒先や外壁は雷の通り道になるため(文部科学省)、建物に入るときは、軒下で止まらず中まで入ります。

決めた建物に行けないときは、店員のいるお店や公共の建物へ

決めた建物が近くにないときは、雷の中を歩き続けず、店員のいる、人の目のあるお店や公共の建物に入ります。警視庁の「いかのおすし」にある、ついて「いか」ない、車に「のらない」は、雨の日も同じです。

家が近くても走らない

家まであと少し、という場所で雨が強くなると、近いから走って帰ればいい、と思いがちです。ワークシートは、この「大雨の中を走って帰る」に×をつけています。理由は、「大雨の中だと車にぶつかる危険がある」「道路に水がたまり側溝などに落ちると危ない」の2つです。

車にぶつかる危険も、側溝に落ちる危険も、家が近いか遠いかには関係なくあります。近くても、建物に入って待つ。 家に家族がいても、走って帰らずに待ちます。

川や用水路、橋の下、くぐる道、木の下には行かない

急な大雨や雷のときは、近づいてはいけない場所があります。

  • 川や用水路のそば:上流の雨で、急に水が増える。すぐに離れて、近くの建物へ
  • 橋の下:雨宿りの場所に見えても入らない。急に川の水が増える。近くの建物の、地下ではない階で雨宿りする
  • アンダーパス(線路や道路の下をくぐる道):降り始めから10分程度で冠水することがある(気象庁)。豪雨のときはくぐらず、近くの建物で待つ
  • 木の下:雨宿りに駆け込まない。木に落ちた雷が、人に飛び移る。木から離れて、近くの建物へ

自分のいる所で雨が降っていなくても、上流で降った雨で、川の水が急に増えることがあります。2008年(平成20年)7月28日、神戸市の都賀川では、局地的な大雨で10分間に1.34m、川の水位が上がりました(国土交通省)。気象庁のワークシートも、上流に黒い雲があるときは、すぐに川の近くから離れるよう書いています。

雷が鳴っているときは、木の下も危険です。雷は高い所に落ちやすく、木に落ちた雷が、そばにいる人に飛び移ることがあります。気象庁は、木の下で雨宿りをしていて死傷する事故のほとんどが、これによると説明しています。1本だけ立っている木に限りません。日本大気電気学会は、林や森の中でも同じように危ないとしています。

近くに入れる建物がないときは、木に近寄らず、身を低くして雷雨が過ぎるのを待ちます。同じ学会は、両足をそろえて膝を十分に折り、上半身を前かがみにして、耳の穴を塞ぐ姿勢を書いています。地面に腹ばいになるのは、危険性があるとしています。

雷の音がやんでも、20分は中で待つ

建物を出るのは、雨が弱まり、雷の音も聞こえなくなったあとです。雷の音が聞こえなくなっても、気象庁のワークシートの目安で20分くらいは待ちます。時計を持っていなければ、建物の中の時計を見るか、周りの大人に聞きます。

同じ場所で何時間も雨が降り続くこともあります(気象庁)。そのときは、雨が弱まるまで待ちます。長くなりそうなら、お店など入った建物の人に「雨がやむまで待たせてください」と言ってよい、と子どもに伝えておきます。

雨がやんだあとも、道にはしばらく水が残ります。

足元が見えないくらい水がたまっている道は、ぜったいに通らない。(千葉県教育委員会)

国土交通省は、「氾濫した水の流れは、勢いが強いので水深が膝程度あると大人でも歩くのが困難になります」と書いています。水路と道路の境や、蓋の開いたマンホールの穴も、濁った水の下では見えません。そういう道に出たら、遠回りでも違う道を通るか、引き返します。長靴を履いていても、同じです。

見守り端末があれば、どこで待っているか親にも分かる

親には、子どもが家に着いたのか、決めた建物で待っているのか、別の所にいるのかが分かりません。

わが家では、声のメッセージを送り合える見守り端末(子どもの居場所が分かるGPSの機械)を3年使っています。

よいところ気をつけるところ
子どもの居場所が分かる。決めた建物に着いたかも確かめられる電話のようにその場では話せない。届くまで1分ほどかかる
子どもと、声でやりとりができる1回に話せるのは30秒ほど。長い話は何回かに分けて送る
本体のほかに毎月の通信費(声のメッセージ付きのプランで、月700円台)と、充電が要る

持っていくように言っていても、家に置いて出かける日はあります。そんな日も、「無理して帰らない」と決めてあれば、子どもは近くの建物で待てます。

選ぶなら、居場所が分かるだけの端末ではなく、声のメッセージを送り合えるものにします。

\ 「そこで待っててね」と、親から返せます /


2. 親が確かめておくこと:学校・学童・習い事の決まり

学校の決まりは、まず配られた案内で確かめる

雷や急な大雨のとき、子どもを帰すのか、学校で待たせるのか、保護者に迎えを頼むのかは、学校によって違います。同じ学校でも、場合によって分けていることがあります。たとえば堺市の小学校のお知らせは、大雨の警報で授業を早く終えるときの決まりを書いています。保護者の帰宅が難しい家庭の子どもは、迎えが来るまで学校で預かる、という中身です。

学校や学童から、非常時の登下校の案内が配られていると思うので、まず確かめてみてください。分からないことだけを、連絡帳や個人面談、学童のお迎えのときに聞けば十分です。

確かめるのは3つです。

① 雷や急な大雨のとき、下校させるか、学校で待たせるか、迎えを頼まれるか

② 連絡はどう来るか(一斉メール・アプリ・電話など)

③ すぐに迎えに行けないとき、子どもはどうなるか(学校で待つのか、先生が付いて下校するのか)

一度に全部が分からなくても大丈夫です。まず①が分かれば、子どもに伝える言葉が決まります。 「学校にいたら、先生が帰っていいと言うまで待つ」のように、具体的に言えるようになります。

学童に通っている場合は、学童の決まりも

学童によっては、大雨のときは子どもを帰さずに預かり、親に連絡をくれることもあります。ただ、学童を出たあとに降り出したら、子どもはもう学童の外にいるので、この決まりでは守られません。帰り道で降られたら決めておいた建物で待つ、と前もって子どもに伝えておきます。

学校と学童、どちらで待つことになるかを親が知っておくと、通知が来たときに慌てずに済みます。

習い事の教室にも聞いておく

習い事の行き帰りも、子どもだけで歩く時間です。雷や急な大雨のとき、子どもを帰すのか、教室で待たせるのかを、送り迎えのときなどに一度聞いておきます。

連絡がまだ来ないことは、「帰した」という意味ではない

天気が急に変わると、学校からすぐに連絡が来るとは限りません。品川区は、一斉メールが遅れることがあるので、学校のホームページも見てほしいと案内しています。

子どもと決めごとをしてあれば、連絡が来るまでの間も、子どもは建物の中で待てます。親は慌てて迎えに飛び出さず、学校のホームページなどで様子を確かめられます。

迎えに行くときも、帰り道が危なければ時間をずらす

広島市は、学校までの道が危ないときは、迎えを頼まれても無理に来ないよう求め、迎えたあとも安全を優先するよう書いています。

迎えに行けたとしても、帰る道が危なそうなら、雨と雷が収まるまで学校で一緒に待ち、帰る時間をずらします。学校向けのマニュアルの例には、迎えに来た保護者も一緒に学校で待つ、と書いてあるものもあります(千葉県教育委員会)。


まとめ:まず一度、子どもと待つ建物を決める

  • 急な大雨や雷のときは、無理せず、近くの建物の中で待つ。学校や学童にいるなら、そこから出ない
  • 建物に入る合図は、黒い雲・雷の音・冷たい風。傘を差していてもぬれるほど降ってきたら、もう建物に入る。入る建物は、前もって親子で決めておく
  • 家が近くても走らない。川や用水路のそば、橋の下、アンダーパスには近づかず、木の下で雨宿りしない。雷の音がやんでも20分くらいは待つ
  • 親は、学校・学童・習い事の決まりを確かめて、子どもと話し合っておく。迎えに行けても、帰り道が危なければ時間をずらす

やることは2つです。子どもと通学路を一度歩いて、入るお店か建物を1つ決め、「急な大雨や雷のときは、無理して帰らなくていいよ。ここの中で待っていてね」と伝える。そして、学校や学童から配られた案内で「雷や急な大雨のとき、下校させるか待たせるか」を確かめておく。分からなければ聞き、習い事の教室にも聞いておく。確かめたことは、子どもと話し合っておく。この2つがそろえば、親が動けない日でも、子どもの行動は変わりません。

どちらも、お金も道具もかかりません。そのうえで、決めた建物に行けない日まで備えるなら、声のメッセージを送り合える見守り端末を足す手もあります。


この記事を書いた人

病院を裏方から支えて10年以上。被災地で見たことから、家で防げるけがを減らしたくて書いています。→ 運営者について


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参考文献

国・公的機関

学会

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