避難所の硬い床で眠るために-エアマット・銀マット・レスキューシートの選び方

木の床に並べたアルミシート、折りたたみの銀マット、エアマット わが家の備え

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避難所の床は、冷たくて硬い。初日から眠れないことも、珍しくありません。眠れない日が続くと、疲れがたまり、注意も落ちていきます。

国は2024年7月、避難所を開いたその日から簡易ベッドを置く方針を出しました。ただ、全員にすぐ届くとは限りません。簡易ベッドが届くまでの床を、自分の荷物で埋める。そのための道具が、マットです。

ここでいうエアマットは、介護用の体圧分散マットレスとは別の物です。キャンプや車中泊で使う、寝るためのマットを指します。空気で膨らませないマット(銀マット)と、アルミのシートもあわせて比べます。

結論

  • 持ち運ぶならエアマット。車に積めるなら、穴が開いても使える銀マットも選択肢
  • エアマットは膨らませ方で選ぶ。自動膨張式も、空気が足りなければ最後は自分で足す
  • 厚みは「底つき」するかで決める。畳んで持ち運ぶなら、収納したときの大きさと重さを見る

眠れた分だけ、翌日は動けます。


  1. 避難所の床は、冷たくて硬い。眠れない日が続くと、疲れがたまる
    1. 睡眠不足が続くと、眠気を自覚しにくくなる
    2. 眠れない理由は、床だけではない
    3. 床に触れている側から、体温が逃げる
    4. 床に近いと、ほこりも吸い込む
    5. 国は開設時から簡易ベッドを置く方針。ただ、すぐ届くとは限らない
    6. 簡易ベッドが、すぐに届かない理由
  2. 選択肢は3つ:レスキューシート・銀マット・エアマット
    1. レスキューシート:体をくるむ物
    2. 銀マット:広げるだけで使える
    3. エアマット:小さく畳めて、厚みが出る
  3. エアマットは「膨らませ方」で選ぶ
    1. 口で吹き込む:できるが、時間がかかる
    2. ポンプを使う:電気が要らない物もある
    3. 自動膨張式の仕組み:スポンジが元に戻る力を使う
    4. 自動膨張式の弱点と、畳み方
    5. 並べて比べる:軽さ・膨らませやすさ・畳みやすさ
  4. 厚みは「底つき」で決める
    1. 家でできる確かめ方
    2. 厚いほど暖かい、とは限らない
    3. 参考:R値という数字
  5. 持ち出すなら、リュックのスペースと「誰が持つか」
    1. 収納したときの大きさを見る
    2. 必要な物はそろえる。持てる人が持つ
  6. 子どもを寝かせるときに見るところ
    1. 赤ちゃんは、冷たい面に触れるだけで体温を失いやすい
    2. 音が出ないかを、家で確かめる
    3. 車中泊は、足を伸ばして横になれるか
  7. 買う前に決めること、買ったあとにすること
    1. 届いたら、一度広げる
    2. しまうときは、バルブを開けたまま
    3. 購入後にやること
    4. 自宅で過ごすときも、寝室が使えるとは限らない
  8. まとめ:持ち運ぶならエアマット、車に積めるなら銀マット
    1. この記事を書いた人
  9. 参考文献

避難所の床は、冷たくて硬い。眠れない日が続くと、疲れがたまる

私が被災地で見た範囲では、寝られている人と寝られていない人の差は、数日で表情に出ます。

平時でも、眠れない日が続けば、普段どおりやっていたことに注意が向かなくなります。避難して環境が変わり、緊張が続く中では、なおさら心も体も疲れます。3日もせずに、その疲れが出てきます。

睡眠不足が続くと、眠気を自覚しにくくなる

災害のときに限った話ではありませんが、厚生労働省のe-ヘルスネットは、睡眠不足が長く続いたときの状態をこう説明しています。

睡眠不足が長期間続くと、慢性的な眠気や認知パフォーマンスの低下、気分の不安定さなど、生活にさまざまな支障が出てきます

同じページには「睡眠不足が長引くと、むしろ眠気を自覚しにくくなる」ともあります。本人は平気なつもりでも、注意は落ちていきます。

子どもは「こどもの場合は、眠気を自覚できず」とあります。眠気の代わりに、注意力や集中力の低下、イライラ、落ち着きのなさとして出ることがあるそうです(e-ヘルスネット)。

眠れない理由は、床だけではない

日本睡眠学会は2024年1月の声明で、震災のような強いストレスにさらされた直後に不眠症状が出るのは「決しておかしなことではな」い、としています。そのうえで、慣れない環境では安心して眠ることが難しく、不眠は長引く傾向にある、とも書いています。余震が続けば、警戒も解けません。

緊張やストレスで眠れない夜が続くときは、話を聞いてもらう時間を持つと、少し楽になります。国の被災者向けの冊子も、「心配や不安を一人で抱えずに、周りの人と話しましょう」と勧めています(内閣府『ほっと安心手帳』)。

床を整えても、緊張などから眠れない夜もあります。 それでも、横になれるだけで体は休まります。同じ冊子にも「眠れなくても、横になるだけで休めます」とあります。

日本睡眠学会は、被災地では安定した眠りを得ることが難しいとしたうえで、「眠れるときに眠る」という開き直りが必要だとも書いています。

床に触れている側から、体温が逃げる

床に寝ると、背中側は冷たい床に直接触れます。触れ合った物どうしで熱が移ることを、伝導といいます。

地面に直接寝ると、体と冷たい地面の間の伝導で、すぐに冷えます(サーマレスト)。

暖かい寝袋でも、背中側は守りきれません。背中側の綿は、体の重みでつぶれて、ほとんど効かないからです。どんなに暖かい寝袋でも、下に敷くマットの断熱が足りなければ、床側から熱が逃げて寒くなります(NEMO)。

掛ける物を増やす前に、床との間に1枚はさむ。 床の冷えには、こちらが効きます。

床に近いと、ほこりも吸い込む

床から体を離す理由は、冷えと硬さだけではありません。

内閣府は避難所の資料で、床に長く横たわっていると「埃等を吸い込むことによる健康被害も心配される」と書いています。避難所の点検項目にも、床に直接寝ることの危険についての項目があります。アレルギーや喘息などが悪化する危険を「認識し、住民・避難者に周知する」というものです(内閣府『避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン』)。

国は開設時から簡易ベッドを置く方針。ただ、すぐ届くとは限らない

国は2024年7月、避難所を開いたときから段ボールベッドなどの簡易ベッドを置くよう、都道府県に求めました(内閣府)。同じ年の12月には、避難所運営の指針にもこう書き込まれています。

初動は毛布や通気を確保する等、寒さ暑さの緩和に努めるとともに、マットや段ボール仕様やエアーベッドも含め簡易ベッドを避難所開設時から設置できるようにしましょう

国の方針は、避難したその日から、床に直接寝かせない方向です。

一方で、12月の改定を発表した記者会見では、大臣が「スフィア基準を満たすような環境を当初つくれないところも当然想定はされる」とも答えています(内閣府)。

スフィア基準は、避難生活で最低限守られるべき水準を定めた国際的な基準です。国の指針も、たとえば次の数字に沿うよう求めています(内閣府)。

  • 居住スペースは、1人あたり最低3.5㎡
  • トイレは、最初は50人に1つ、落ち着いたら20人に1つ
  • トイレの数は、女性用と男性用で3対1

簡易ベッドが、すぐに届かない理由

避難所に段ボールベッドがあるなら、マットは要らないのでは、と思うかもしれません。ただ、2024年の能登半島地震では、次のようなことが起きました(内閣府)。

  • 避難所に備えてあった簡易ベッドが、並べられなかった
  • 国は段ボールベッドを約7,000個送ったが、避難所が混み合って置く場所がない、使うのを断られる、といったことがあった
  • 大きさや丈夫さがまちまちで、寝返りで落ちるほど小さい物もあった
  • 組み立てに、時間と人手がかかった

国が送る物資は、遅くとも発災後3日目までに都道府県に届くよう調整されます。最初の3日間は、家庭や自治体の備えで乗り切る想定です(内閣府)。

前もって地元の会社と協定を結んでいた能登町は、うまくいった例として紹介されています。それでも、ベッドが届いたのは発災から約2週間後でした。全12か所の避難所の雑魚寝がなくなるまで、さらに7日かかっています(内閣府の検討会で示された資料)。

珠洲市で避難所を運営した区長会長も、「床に寝るのは良くないので、高齢で足の不自由な人には、もっともっと先にダンボールベッドを入れてあげるべきだったと思っています」と振り返っています(石川県 能登半島地震アーカイブ)。

簡易ベッドが届くまでの床を、自分で埋める。 マットを持つ理由はここにあります。


選択肢は3つ:レスキューシート・銀マット・エアマット

避難所の寝床に足せる物は、大きく3つです。

どんな物か穴が開いたら持ち運び
レスキューシート(アルミシート)体をくるんで保温する薄いシート関係なし小さく畳める
銀マットクッション性のある、発泡素材の折りたたみマットそのまま使える商品による(厚手はかさばる)
エアマット空気で厚みを出すマット空気が抜ける小さく畳める

持ち運ぶならエアマット、車に積めるなら銀マット。 私が選ぶなら、この分け方です。

レスキューシート:体をくるむ物

アルミを蒸着した薄いシートで、体をくるんだり、羽織ったりして使います。メーカーの説明も、くるむ使い方が中心です。金色の面を外側にしてくるむと、保温になります(イワツキ)。

私は1回だけ使ったことがあります。じんわりあったかい。

床に敷いても、薄いので暖を取る効果はあまり期待できません。 寝るときに上から掛けて、マットと一緒に使う物です。

\ 畳めば手のひらほど。リュックのすき間に入ります /

銀マット:広げるだけで使える

発泡素材にアルミを貼った、折りたたみや巻き取り式のマットです。空気を入れる必要がなく、広げればすぐに寝床になります。

ただし、畳んだときの大きさは商品によってかなり違います。車に積むなら厚手で構いませんが、畳んで持ち運ぶなら、収納したときの大きさと重さを見てから選びます。

\ 空気を入れる手間がなく、穴が開いても使えます /

エアマット:小さく畳めて、厚みが出る

空気を入れて厚みを出すマットです。使わないときは空気を抜いて、小さく畳んでおけます。

弱点は穴です。エアマットの修理でいちばん多いのが穴で(サーマレスト)、家庭用のエアーベッドでも、国民生活センターに寄せられた相談の約7割が空気漏れでした。その点、銀マットは空気で膨らませていないので、穴が開いても厚みが残ります(モンベル、サーマレスト)。

それでもエアマットを勧めるのは、畳めば場所を取らず、避難所にも持っていけて、自宅でも使えるからです。 穴には、届いた日と点検日に空気漏れを確かめることで備えます。


エアマットは「膨らませ方」で選ぶ

空気の入れ方は、大きく3通りです。

入れ方電気手間
口で吹き込む要らない時間がかかる
ポンプを使う(足踏みポンプ付き・収納袋がポンプになる物・電動ポンプ)電動だけ要る軽い
自動膨張式要らない途中まではバルブを開けて待つだけ

選ぶときは、コンセントが使えないときの入れ方が1つあるかを見ます。

口で吹き込む:できるが、時間がかかる

浮き輪を息で膨らませたことがある人なら分かると思いますが、マットはあれ以上にしんどいです。できなくはないけれど、時間がかかります。

東日本大震災のとき、宮城県の避難所に浮き輪メーカーからビーチマットが届けられました。避難していた人の声は「床にそのまま寝るよりは楽になりました」。一方で、空気を入れるのに手間がかかったとも報じられています(東京新聞)。

口で入れられるマットでも、それだけに頼ると時間がかかります。

ポンプを使う:電気が要らない物もある

電気を使わないポンプもあります。マットに足踏みポンプが付いた物は、足で踏むだけで膨らみます。収納袋がそのままポンプになる物もあり、コールマンは「別途ポンプを用意する必要なく」と説明しています。

電動ポンプには、コンセント式、乾電池式、USBで充電する式があります。

  • コンセント式:停電すると使えません。モンベルには、コンセントと車のシガーソケットの両方で使える物があります
  • 乾電池式:電源コードが要りません。ただ電池は別売りで、単1を4本、単3を8本使う型があります(フィールドア)
  • 充電式:コールマンの物は、充電に約5時間かかります

電動ポンプには「連続運転を10分以上しないでください」という注意書きがある物もあります(フィールドア)。

電動を選ぶなら、電池や充電がなくなったときに、ほかの入れ方があるかを確かめておきます。

自動膨張式の仕組み:スポンジが元に戻る力を使う

自動膨張式マットの中には、すき間の多いスポンジ(ウレタンフォーム)が入っています。それを空気を通さない布で包み、バルブを空気の出入り口にしてあります。

使う前は、スポンジを押しつぶして空気を抜いた状態で巻いてあります。バルブを開けると、スポンジが元の形に戻ろうとします。空いたすき間に、外の空気が押し込まれて膨らみます。かかる時間は、おおむね5〜15分です。長く畳んだまま置いた物や、寒いときは遅くなります。

自動膨張式マットがバルブを開けるとスポンジが戻って空気が入り、足りない分を息やポンプで足す流れを3段階で示した図

自動で膨らむのは途中までです。中と外の空気の圧力が釣り合ったところで止まるので、最後まで自分で膨らむようには作られていません。空気が足りなければ、息やポンプで足して、好みの硬さにします。

ただし、氷点下のときは息で膨らませないようにします。息に含まれる水分が、中で凍ることがあるためです。空気を足すなら、ポンプを使います。

着いたらまずバルブを開け、ほかの用事をしている間に膨らませるのが、勧められている使い方です(この節の説明は、いずれもサーマレスト)。

自動膨張式の弱点と、畳み方

自動膨張式は、空気だけのマットより少し重く、小さくなりません。その代わり、膨らませるのが楽です。畳むときは、バルブを開けて空気を出し、バルブのある端に向かって巻きながら、残りの空気を押し出します。

巻いている途中で空気が戻らない仕組みのバルブ(逆止弁)を付けたマットもあります。

畳むのが手間でなければ、自動膨張式もありだと考えています。

並べて比べる:軽さ・膨らませやすさ・畳みやすさ

何を優先するかで、向いている物が変わります。持ち運ぶことをいちばんに考えるなら、空気だけのエアマットです。

軽さ・小ささを取るなら 自動膨張式で軽めなら 自動膨張式で畳みやすさなら
見た目 足踏みポンプ付きエアマット 自動膨張式マット MT-103F ロゴスの自動膨張式マット 55 SOLO
種類空気だけのエアマット自動膨張式自動膨張式
膨らませ方付いている足踏みポンプを踏むバルブを開けて待ち、足りなければ足すバルブを開けて待ち、足りなければ足す
厚さ10cm3cm5.5cm
重さ約750g約1.1kg約2kg
畳んだ大きさ約24×11cm約33×18cm直径約17×長さ61cm
空気が戻らないバルブ記載なし記載なしあり

※重さと大きさは、下のボタンの商品の表記です。

\ 畳めば24×11cm。足で踏んで膨らませます /

\ バルブを開けて置いておけば、ほかの用事の間に膨らみます /

\ 巻いている途中で空気が戻らず、畳むのが楽です /


厚みは「底つき」で決める

底つきは、体の重い所がマットを押しつぶして、床の硬さが直に伝わる状態のことです。仰向けなら腰、横向きなら肩から先に出ます。

厚みが足りたマットと、腰がマットを押しつぶして床に当たる「底つき」を並べた図

下に1枚あるかないかで、体に当たる硬さは変わります。 体の重さを受け止めきれる厚みがあるかを、家で確かめておきます。

家でできる確かめ方

  1. マットを膨らませて、いつもの姿勢で寝る
  2. 腰や肩の下に手を差し込む
  3. 床の硬さを指で感じたら、底つきしています

乗る人の体重で結果は変わります。大人が底つきする厚みでも、体の軽い子どもは沈み込みが小さくなります。

空気は入れすぎないようにします。国民生活センターも、エアーベッドについて「空気を入れ過ぎないようにしましょう」と書いています。少し抜いて、体が軽く沈むくらいに合わせます。

厚いほど暖かい、とは限らない

厚みがあるほど暖かい、とは限りません(モンベル)。空気で膨らませるマットは、中で暖かい空気と冷たい空気が入れ替わるためです(シートゥサミット)。

寒さが気になるなら、エアマットの下に銀マットを重ねると、そのぶん暖かくなります(NEMO、サーマレスト)。

参考:R値という数字

商品によっては、暖かさの目安として「R値(アール値)」が書いてあります。体から床へ熱が逃げるのを、マットがどれだけ防ぐかを表す数字で、大きいほど熱が逃げにくくなります(NEMO)。

ただし、R値はあくまで参考です。国が決めた値ではなく、アメリカの民間の規格団体(ASTM)が決めた測り方で、各メーカーが測って表示している数字です。書いていない商品も多く、実際の暖かさといつも一致するわけでもない、と規格自身が書いています(ASTM)。

選ぶときは、底つきしない厚みと、持ち運べる大きさ・重さを先に見てください。 R値は、同じ条件の商品で迷ったときに見るくらいで十分です。


持ち出すなら、リュックのスペースと「誰が持つか」

かさばるマットは、リュックに入りきらないことがあります。

収納したときの大きさを見る

畳んだ大きさは、種類でかなり違います。3章の表のとおり、空気だけのエアマットは手に収まるくらいですが、自動膨張式は長さ60cmほどになる物もあります。

リュックの中に入れるか、外に付けるか、別のバッグに回すか。 買う前に大きさを見ておくと決めやすくなります。

必要な物はそろえる。持てる人が持つ

荷物を家族で分けて持つのは、理に適っています。ただ、子どもや高齢者は、自分の分を担げないことがあります。

必要な物は、まずそろえる。持っていける人が持っていく。 ただし、何から持つかの優先度は決めておきます。わが家では、リュックの次に手が空いていれば、マットと考えています。

荷物の分け方は、アウトドア用品を防災に流用でも書いています。


子どもを寝かせるときに見るところ

マットを買ったら、子どもにも一度寝てもらって、寝心地を聞いてみてください。

赤ちゃんは、冷たい面に触れるだけで体温を失いやすい

「MSDマニュアル」は、アメリカの製薬会社が出している医療者向けの医学事典です。新生児の低体温症について、熱が逃げる経路の1つに「新生児が冷たい表面または物体と接触する場合」を挙げています。

そのため、赤ちゃん連れなら、冷たい床に直接寝かせないことを先に考えます。

国の避難所の点検項目にも、簡易ベッドが全員に行きわたらない場合の優先順位を検討する、という項目があります。例として挙がっているのは「子ども、高齢者、障害者、女性等」です(内閣府『避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン』)。

音が出ないかを、家で確かめる

前に使ったアルミシートは、動くたびにカシャカシャと鳴りました。音が気になるなら、静音をうたうシートもあります。避難所に届いたビーチマットでも、ビニールがこすれて音が響いたと報じられています(東京新聞)。

周りに人がいる場所では、寝返りの音も気になります。買ったら家で一度寝転んで、音を確かめておきます。

車中泊は、足を伸ばして横になれるか

厚生労働省は、車などの狭い座席に長時間座って足を動かさないと、血行不良が起き、エコノミークラス症候群につながると説明しています。予防として挙げているのは、こまめに水分をとる、ときどき体操やストレッチをする、眠るときは足をあげる、などです。

2016年の熊本地震では、避難所などで、のべ136会場・4,135名に足の静脈のエコー検査が行われました。発災後45日間の、深部静脈血栓症の陽性率は9.5%でした(日本血栓止血学会誌)。

2026年7月の熊本の地震では、自宅の庭で車中泊を続けたあと避難所に来た人の「腰も背中も痛く、昨夜は一睡もできなかった。今日から足を伸ばして安心して眠れる」という声が報じられました(南日本新聞)。

座席の段差をマットで埋めて平らにすれば、足を伸ばして横になれます。 水分をとる・体を動かすといった予防は、マットがあってもなくても必要です。


買う前に決めること、買ったあとにすること

どれを買えばいいか迷ったら、まずは選ぶ条件を決めることから始めてはどうでしょうか。持ち運ぶかどうか、膨らませ方、底つきしない厚み。この3つが決まれば、あとは選べます。

届いたら、一度広げる

新品の自動膨張式は、使う前に一度膨らませて2〜4時間置くと、その後よく膨らむようになります(サーマレスト)。

国民生活センターも、エアーベッドについて「商品到着後速やかに空気漏れがないかを確認」するよう呼びかけています。

届いた日に広げておくと、膨らみ具合と空気漏れを一度に確かめられます。

しまうときは、バルブを開けたまま

いちばんよいのは、広げて膨らませたまま、乾いた場所に、バルブを開けて置くことです。何か月も巻いたままにすると、中のスポンジに押しつぶされたくせがつき、次に膨らみにくくなります。湿った場所に長く置いたカビの損傷は、保証の対象外です(サーマレスト)。

広げて置く場所がなければ、ゆるく巻いて、バルブを開けたまましまいます。きつく巻いたままにしないのがコツです。バルブを開けておくと、中の湿気も乾きます(シートゥサミット、NEMO)。

押し入れにしまうときも、ゆるく巻いて、バルブは開けておきます。

購入後にやること

  • 乾電池式のポンプなら電池、充電式ならその都度の充電
  • 空気漏れの点検
  • 置き場所を決める(自動膨張式は、広げて置けるならそれがいちばん)

空気漏れの点検は、ほかの備えと同じ日にまとめると忘れにくくなります。点検日の回し方は防災の日にやる、わが家の点検リストに書きました。

自宅で過ごすときも、寝室が使えるとは限らない

自宅にいる場合は、また事情が違います。内閣府の「在宅・車中泊避難者等の支援の手引き」に、在宅避難者へ段ボールベッドを配る記述は見当たりません。自宅にいるなら、寝床は自分で用意することになります。

しかも、自宅の寝室が使えるかどうかは、被災してみないと分かりません。 窓ガラスが割れて寒い、家具が倒れて入れない。そういうときは、別の部屋の床で寝ることになります。

銀マットは、家に置き場があれば家に、なければ車に積んでおけます。避難所へ持っていく分は、小さく畳めるエアマットが候補です。


まとめ:持ち運ぶならエアマット、車に積めるなら銀マット

  • 床で眠れない日が続くと、注意が落ち、本人は眠気を自覚しにくくなる(e-ヘルスネット)
  • 国は開設時から簡易ベッドを置く方針にしたが、すぐ届くとは限らない。簡易ベッドが届くまでの床を自分で埋める
  • アルミシートは、床に敷く物ではなく、上から掛けて保温する物
  • 車や家に置いておくなら、穴が開いても使える銀マット
  • 持ち運ぶならエアマット。軽さなら空気だけの物、膨らませる手間を減らすなら自動膨張式
  • エアマットは膨らませ方で選ぶ。コンセントが使えないときの入れ方を1つ持つ
  • 自動膨張式の仕組みは、スポンジが元に戻る力。膨らむのは途中までで、空気が足りなければ最後は自分で足す
  • 厚みは底つきで決める。畳んで持ち運ぶなら、収納したときの大きさと重さを見る

この記事を書いた人

病院の医療を裏方から支えて10年以上。被災地で見たことから、家で防げるけがを減らしたくて書いています。→ 運営者について


参考文献

国・公的機関

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