防災の明かりの選び方-ランタン・ヘッドライト・懐中電灯の使い分け

暗い部屋でドアの上に吊るして点灯させたLEDランタン わが家の備え

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停電の夜、家の中は本当に暗くなります。天気にもよりますが、外のほうがまだ明るく感じるくらいです。

そういう夜の明かりは、大きな1台を部屋に置くより、一人ひとりの手元に1つずつあるほうが動けると考えています。ランタンは、その次に「みんなで過ごす場所」に置く道具です。

結論

  • 停電の夜、最初に要るのは懐中電灯かヘッドライト。ランタンはその次に、みんなで過ごす場所に1台
  • 明るさはそこそこでいい。見るのは、点灯時間と電池の型
  • 保管場所は、停電時にどこで過ごすかを事前に想定。吊るすならS字フック1つ

懐中電灯とヘッドライトとランタンは、何が違うのか

懐中電灯ヘッドライトランタン
使う場面一方向を確かめる歩く、手を動かすその場にとどまって過ごす
光り方前を照らす顔を向けた方向を照らすまわりを広く照らす
手片手がふさがる両手が空く置けば両手が空く

懐中電灯とヘッドライトは、どちらも動くときに使う明かりです。違いは、手がふさがるかどうかです。子どもを抱く、手すりをつかむ、といった場面では、この差がそのまま出ます。

ランタンは、その場にとどまって使う明かりです。置いた場所のまわりが明るくなるので、家族がそこに集まって座れます。頭に付けた明かりは、付けている人と一緒に動いてしまうので、こうはなりません。

スマホのライトは、必要最低限に

ブレーカーが落ちて真っ暗になったとき、わが家で最初に手に取ったのは、2回ともスマホでした。

  • ドライヤーを使っていたとき:スマホを触っていたので、そのままスマホで照らした
  • 台所にいたとき:スマホで音楽をかけていたので、やはりスマホ

どちらも、懐中電灯よりスマホのほうが近かったからです。スマホで照らしながら、子どもに声をかけてブレーカーを上げました。

ただ、スマホで長い時間を照らすことは避けたほうが良いです。スマホは、停電のあいだの連絡手段です。その役目をできるだけ長く持たせたいので、明かりとしては使いたくありません。どうしようもないときは使いますが、ほかの明かりを手に取るまでの数十秒をつなぐものと考えています。

まだどれも持っていないなら、先にヘッドライト

足元が見えないまま動くと、そのままけがにつながります。両手が空く形なら、子どもを抱いても、手すりをつかんでも、光は顔を向けた方向を照らしたままです。

ランタンは、その次に足す1台と考えています。ヘッドライトの選び方は、アウトドア用品を防災に流用する記事にも書きました。

\ 両手が空くので、子どもを抱けます。荷物も持てます /


明かりは「部屋に1つ」ではなく「一人に1つ」

キャンプで疑似体験

明かりの少ない場所でキャンプをしたとき、子どもに明かりを持たせたことがあります。屋外での移動の話で、停電の夜ではありません。

渡したもの起きたこと
ランタンテンションがあがり持ちたい!となったものの手が滑り落下。プラスチック部分破損(使用には影響なし)
ヘッドライト頭に付けたまま、足元を照らせていた。スイッチはかちかち切り替えていた

ランタンは、子どもが手に持ち続けるには大きくて重い道具です。頭に付ける形なら、手から落ちることがありません。

このときは、軽い破損だけで済みました。平時なら流せます。ただ、家に1つしかない明かりを停電の夜に落として壊したら、その先は手探りになります。有事だったら、発狂しかねません。

だから、移動時の明かりは部屋に1つではなく、一人に1つと考えています。わが家では、子どもも使える状態のヘッドライトを人数分そろえています。

人と向き合うときは、ヘッドライトに角度をつける

ヘッドライトは、顔を向けた方向を照らします。人のほうを向けば、光もその人の顔に向かうので、まぶしくなります。

話すときや、子どもの様子を見るときは、光が相手の顔に直接当たらないように、ライトの向きに少し角度をつけます。

子どもに持たせるなら、首に引っかからない形

子どもに頭に付ける明かりを持たせるときに、いちばん避けたいのは、何かに引っかかって首が締まることです。けがを防ぐための明かりで、別のけがをしては本末転倒です。

ペツルのティキッドは、子ども向けの作りが公式サイトに書かれています。

公式サイトの記載(ペツル)
ヘッドバンド強く引かれると外れる
明るさ最大20ルーメン。子どもの目を守るために、抑えてある
電池単4×3本・付属
対象年齢3歳以上

選んだ理由は、1行目です。強く引かれたら外れるので、どこかに引っかかっても首に巻きついたままになりません。電池が付属しているので、届いた日に点けられます。

\ 引っかかっても外れるバンドで、首が締まりません /


停電の夜の明かりは、煌々とつけなくていい

屋内は、思っているより暗い

停電の夜は、天気にもよりますが、外のほうが明るく感じることがあります。屋内は本当に暗くなります。

足元灯がある家庭も、コンセントに直接差すタイプであれば、停電すると使用できません。 普段無意識に使っているものが使えないと子どもは動揺しかねないので他の手段を確保しましょう。

部屋全体を、いつもの明るさにしなくていい

停電の夜の明かりは、そこそこの明るさで足りると考えています。煌々とつける必要はありません。

ライトの箱や商品ページには、「ルーメン」という数字が書いてあります。似た言葉に「ルクス」があります。

単位何を表すか
ルーメン(lm)ライトが出す光の量
ルクス(lx)光で照らされた場所の明るさ

(日本照明工業会・パナソニック)

同じルーメンのライトでも、照らす場所が遠いほど、広いほど、ルクスは下がります(岩崎電気)。そのため、商品のルーメンを見ても、部屋がどのくらい明るくなるかは比べられません。

目安になる数字はあります。

  • 天井のシーリングライトの「◯畳用」は、机の上で100ルクスを基準に決められていて、6畳用で3,200ルーメンほど(日本照明工業会)
  • パナソニックの目安では、約60ルーメンが「停電時の明るさ確保」、約200ルーメンが「停電時の卓上のあかり」、約800ルーメンが「部屋全体を明るく照らす」

200ルーメン程度あれば必要な明るさが確保できると考えます。

停電は、1晩で終わらないことがある

明るさより気にしたいのは、明かりが何日続くかです。停電は、台風でも地震でも、1晩で終わらないことがあります。

災害停電した数(最大)戻るまで
2019年 台風15号(関東)約93万軒ほぼすべて戻るまで約16日(東京電力)
2018年 北海道胆振東部地震約295万戸約2日で約99%(消防庁)
2016年 熊本地震約47万7千戸本震から4日後に、立ち入れない所を除いて高圧線への送電完了(九州電力)
2024年 能登半島地震約4万戸1月末でも約2,500戸が停電(経済産業省)

停電した数が多いほど長引く、というわけでもありません。能登半島地震は数が少なくても、道路が通れず長引きました。自分の家がどの側に入るかは、そのときにならないと分かりません。


わが家のランタンは、ランタン機能と値段で選んだ

選んだのは、キャッチフィールドのCF-111

わが家で使っているのは、キャッチフィールドのCF-111という乾電池式のランタンです。選んだ理由は、ランタンとして使えることと、値段でした。

メーカーの表示
ランタンの明るさ200lm(COB)
懐中電灯の明るさ60lm(LED)
電池単3アルカリ乾電池3本(別売)
点灯時間の目安ランタンをつけっぱなしで約6時間
明るさの切り替えなし(点けるか消すかだけ)
防水記載なし
大きさ・重さ約95×85×135mm・約260g
そのほか赤い点滅灯、底にフックとマグネット

(株式会社タマハシ 商品ページ・取扱説明書)

縮めた状態のCF-111と、単3電池を並べたところ

縮めた状態のCF-111と単3乾電池を並べて大きさを比べたところ

点け方は、本体の外側をスライドするだけ

本体の外側をスライドすると、ランタンが点きます。戻すと消えます。スイッチを探さなくていいので、暗い中でも迷いにくいです。

本体の外側をスライドして点灯させたCF-111のランタン部分

外側をスライドすると、ぐるりと光ります。スイッチを探さなくていいので、暗い中でも迷いにくいです

ランタンの光は「COB」という作りです。基板の上に小さなLEDを直接のせて、広い面で光るようにしたものです。ライトのメーカーのジェントスは「面発光LED」と呼んでいます。

使ってみて、使いにくいところ

  • 直接見るとまぶしい。 取扱説明書にも「光源を直視しないでください」とあります。明るさは切り替えられないので、置く場所や囲いで調整します
  • 懐中電灯の部分は、出番が少ない。 側面のボタンで点く懐中電灯も付いていて、使ったことはあります。ランタン用途であれば使用頻度は少ない
  • 赤い点滅灯は、ちかちかしてまぶしい。 非常時に使用するイメージ。ランタン目的では使用せず
  • マグネットは便利だが、家の中では使用場所が少ない。 家の中で磁石が付く面は思ったよりありませんでした
CF-111の上面。赤い光源があるのがわかる

上面の赤い点滅灯。中央は懐中電灯のレンズです

一晩つけるなら、予備の電池がいる

このランタン、つけっぱなしだと約6時間だと取扱説明書に記載がありました。

夜間ずっとつけるなら、電池切れになるため、単3をもう3本、ランタンと一緒に置いておくと、途中で入れ替えられます。

取扱説明書には「充電式電池は使用しないでください」と書いてあります。入れるのは、アルカリ乾電池です。

\ 外側をスライドするだけで点きます。電池は単3×3本 /


保管場所は在宅避難時を想定

ランタンは、どこで使うか

在宅避難になったら、どの部屋で過ごす可能性が高いか。リビング一択であればリビングに置くのがいいです。

家の被害状況では場所がリビングになるかもしれないし、他の部屋になるかもしれない、という場合なら、可能性がある部屋の間に置くのが良いです。どちらの部屋で過ごすことになっても、取りに行ける距離です。

ちなみに、ランタンは、持ち出し用の防災リュックには入れていません。リュックにはランタンが入るスペースがないからです。ランタンは、家で過ごすための道具と考えています。

吊るすならS字フックを使う

ランタンを高いところに吊るすと、まわりを広く照らせます。わが家では、アルミハンガーを使ってドアの上に吊るしたことがあります。やり方は次のとおりです。

  1. ランタンの底に収納されているフックを起こす
  2. アルミハンガーを折り返して、ランタンのフックに掛ける
  3. ハンガーをドアの上に掛ける

コツは2です。ランタンは重いので、ただ引っかけるだけだと、重さでハンガーの形が戻って外れかねません。アルミハンガーは手で曲げられるので、形を調整して外れないように(ランタンが落ちないように)すると良いです。

ただ、吊るし終わってから、S字フックなら曲げる手間もいらないと気づきました。いまは、リビングにある予備のS字フックを、停電のときに使えるようにしています。

暗い部屋でS字フックを使いドアの上に吊るしたCF-111

S字フックでドアの上に吊るしたところ。高い位置に吊るすと、まわりを広く照らせます

S字フックを選ぶときに見ておきたいのは、フックの大きさです。フックの部分が小さいと、ドアの厚みに掛かりません。

ランタンを吊るすのに使っているS字フック

わが家で使っているS字フック。フックの部分が、ドアの厚みに掛かる大きさかを見ます

ほかにも、スチールラックの棒に引っかける、紐でくくる、といった吊るし方もあります。底にマグネットがあるランタンなら、スチールの面に付けることもできます。ただ、家の中で磁石が付く面は、意外と少ないです。


充電式・ろうそくを考えている人へ

充電式

わが家の明かりは、ランタン・ヘッドライト・懐中電灯のすべてが乾電池式です。充電式は持っていません。

乾電池式にした理由は2つです。

  • 機器側で充電池を使用しないようにしているケースがある
  • 乾電池ならローリングストックが可能

充電式は、充電してあれば電池を買い足さなくていいのが良いところです。一方で、停電が何日も続くと、家のコンセントでは充電できません。

充電式の電池(エネループなど)を乾電池式のライトに入れて使いたい人は、対応しているかを確かめてください。わが家のCF-111のように、充電式電池が使えないライトもあります。

ろうそくやガスランタン

火を使う明かりには、ろうそくのほかに、ガスランタンなどがあります。

わが家にも、ろうそくとライターはあります。ただ、停電のときの明かりにするつもりはありません。

地震のあとの火災を防ぐ注意として、消防庁の消防研究センターは次のように呼びかけています。

明かりや暖をとる目的で、屋内でろうそくなどの裸火は極力使用しないでください

理由として挙げられているのは、次の3つです(消防庁 消防研究センター)。

  • 地震で物が散らばり、ふだんは何もない場所に燃えやすい物がある
  • 避難生活や片づけの疲れで、注意が行き届かないことがある
  • 余震のおそれがある

万が一火がついたときは、避難も消火も、いつもの火事より難しくなるとされています。土浦市消防本部も「非常時の照明にロウソク等の裸火を使わないでください」と呼びかけていて、懐中電灯やLEDの明かりを用意しておくことをすすめています。

乾電池式のランタンなら、ろうそくのように、倒れて火が燃え移る心配はありません。


買う前に確認したいこと

置き場所

家族が過ごしそうな部屋を想像して、そこに置く。複数ある場合はどちらからでも取りに行けるようにその間、もしくはそれぞれの部屋に設置。

電池の型と、しまい方

家にある電池の型に合わせると、予備を1種類にまとめられます。わが家の電池は、単3が中心です。

場所置いてある電池
防災リュックの中単3×12本
リビング(普段使い・ローリングストック)単3×20本程度

ランタンが単3なので、この単3から入れ替えられます。

電池のしまい方では、失敗したことがあります。防災用品を入れ替えるときに懐中電灯を開けたら、電池が液漏れしていました。 懐中電灯も使えなくなっていたので、買い替えました。

それからは、ランタンは電池を抜いて、本体に養生テープで貼っています。 取扱説明書にも「長期間使わないときは電池を取り出して保管」とあります。電池が本体についているので、暗い中で探しに行かなくて済みます。

CF-111の本体に単3乾電池3本を養生テープで貼りつけたところ

電池を抜いて、本体に養生テープで貼っています。暗い中で電池を探しに行かなくて済みます

明かり電池理由
ランタン抜いて、本体に貼る家で過ごす準備をしながら使うので、入れる時間がある
懐中電灯入れたまま真っ暗になった直後に使うので、すぐ点いてほしい

懐中電灯も本来は取り出すよう多くの取扱説明書には記載されていると思います。しかし私は上表の理由から入れたままにしています。代わりに、点検のときは次の順で確かめます。

  1. まず電池を取り出して、液漏れしていないかを見る
  2. そのあと電池を戻して、点くかを確かめる

吊るせるか

机の上よりもドア上部や鴨居にかけて上から照らすほうが広く明かりが取れます。そのため、底や上にフックがあるか、商品ページの写真で確かめます。フックがあれば、S字フック1つでドアの上に吊るせます。S字フックは、フックの部分がドアの厚みに掛かる大きさのものを選びます。


まとめ:停電の明かりは、ランタン1台と、人数分のヘッドライト

  • 懐中電灯とヘッドライトは動くときに使う明かり、ランタンはその場にとどまって使う明かり
  • 真っ暗になった最初の数十秒は、近くのスマホで照らす。長い時間は照らさない
  • 移動時の明かりは一人に1つ、頭に付ける形推奨
  • 子どものヘッドライトは、引っかかっても外れるバンドのものを選ぶ
  • 停電の夜の明かりは、そこそこの明るさで足りる。 ルーメンでは部屋の明るさは比べられない
  • 停電は、台風でも地震でも1晩で終わらないことがある
  • わが家のランタンはCF-111。予備電池も準備
  • 置き場所は、停電時にどこで過ごすかを事前に想定
  • 吊るすなら、ドアの厚みに掛かる大きさのS字フック
  • ランタンの電池は抜いて本体に貼る。 入れたままの懐中電灯は、電池を出して液漏れを見てから、点くか確かめる

\ 外側をスライドするだけで点きます。電池は単3×3本 /

\ 両手が空くので、子どもを抱けます。荷物も持てます /

\ 引っかかっても外れるバンドで、首が締まりません /


この記事を書いた人

病院の医療を裏方から支えて10年以上。被災地で見たことから、家で防げるけがを減らしたくて書いています。→ 運営者について


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参考文献


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